Try Angleでは、本日よりクラウドファンディングを開始しました!
全国調査で集まった345名のリアルな声を、自治体や旅行事業者へ届けるためのハンドブック(紙冊子)制作に向けて、皆さんのご支援をお願いします。
Try Angleは、障害や医療的なケアの有無に関わらず、誰もが安心して外出・旅行を楽しめる社会を目指して、2018年から医療的ケア児者とそのご家族の旅行・外出支援に取り組んできました。
生きていくために痰の吸引や人工呼吸器などの医療的ケアを日常的に必要とする「医療的ケア児」は増加傾向にあり、全国に約2万人存在するとされています。医療的ケア児者は医療機器を載せられる大きな車いす(バギー)を使用していたり、ケアのために常時電源の確保が必要な場合もあり、長時間の移動や宿泊を伴う旅行には大きなハードルがあります。
しかし、医療的ケア児者と家族の旅行実態や外出時に直面する困難について、全国規模で把握した調査は多くありません。
そこで今回、外出・旅行に関するニーズや課題を明らかにするため、団体として初めての全国調査を実施し、47都道府県・345名の皆さまから回答を得ることができました。
私たちはこの調査結果を冊子化して、旅行事業者や医療的ケア児者家庭との意見交換を重ねながら、設備面の改善と並行し、旅行事業者向けの研修や、自治体への提案など、ご家族が必要な情報にアクセスしやすくなる仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
「トイレの床に寝かせるしかないかも・・・」――医療的ケア児と家族が抱える外出の難しさ
私たちTry Angleが今年3月に実施した、医療的ケア児者と家族の外出・旅行に関する調査では、回答者の約8割が宿泊旅行を経験していました。
また、宿泊旅行の経験がない方(68名)においても、80.9%が「外出(旅)をしたい」と回答し、その約半数はお出かけの意向があるにもかかわらず、外出ができていない状況であることがわかりました。
「おむつ替え場所の不足」が大きな障壁に
さらに、今回の調査では外出や旅行を検討する際の困りごとも浮き彫りになりました。
宿泊旅行を経験している方が、宿泊施設以外の場所で事前に確認する項目として最も多かったのが「おむつ替えの場所(70.6%)」でした。さらに、旅行中に感じた不便として、62.1%が「おむつを替えられる場所がわからない」と回答しています。
自由記述の中でも、下記のような声が寄せられました。
乳幼児向けのベッドでは対応できず、多目的トイレの床に寝かせるしかないと思った。
車いす対応トイレはたくさんあるが、介助用ベッド(ユニバーサルシート)のあるトイレが本当に少ない。
介助用ベッド(ユニバーサルシート)付きのトイレがどこにあるのか、わかりやすいマップが欲しい。
観光する場所やサービスエリアで、車いす対応トイレや多目的トイレの表示があっても、介助用ベッド(ユニバーサルシート)が付いていないことが多くて、本当に困っている。
バリアフリーと記載がある場所を事前にネットで調べたり、電話で確認もするが、実際に行ってみると、トイレまでの導線に階段があったり、スペースが狭くて、大きな車いす(バギー)では入れなかった。
乳幼児期を過ぎたお子さんのおむつを替えられる場所が見つけづらいという環境設備の不足に加え、情報へのアクセスしにくさが大きな障壁となっていると考えられます。
(参考)画像の左側:大きな介助用ベッド(ユニバーサルシート)があるトイレ
課題を広く伝え、改善のきっかけをつくる冊子を作りたい
医療的ケア児者と家族が外出・旅行で直面する困難は、当事者の声としては存在していても、自治体や旅行事業者の方々に十分に届いていません。今回の全国調査で明らかになった「おむつ替え場所の不足」「情報へのアクセスのしづらさ」などの課題は、“知られていないから改善されない”という構造的な問題でもあります。
そこで私たちは、調査結果をわかりやすくまとめたハンドブック(紙冊子)を制作し、自治体・宿泊施設・旅行事業者の方々に直接届けることで、以下のような変化を生み出したいと考えています。
自治体の支援策検討や、旅行事業者・宿泊施設の研修に活かします
ハンドブックができたら、以下のような形で活用する予定です。
- 自治体の支援策や設備改善の検討材料として活用
調査データと当事者の声をセットで届けることで、公共施設の整備や外出支援策の検討に役立ていただきます
- 宿泊施設や旅行事業者向けの研修教材として活用
「宿泊時にどのような項目を確認しているのか」「どんなサービスがあると助かるか」を具体的に伝えることで、スタッフの皆さんの理解促進や受け入れ体制づくりに活用いただきます
- 医療的ケア児者とご家族が必要な情報にアクセスしやすくなる仕組みづくりの土台に
「困りごと」や「あるとうれしいこと」を可視化することで、情報提供のあり方の改善につなげます
冊子という手に取れる形にすることで、オンラインでは届きにくい層にも確実に届けられ、自治体や事業者との対話のきっかけにもなります。このハンドブックの存在が、医療的ケアのある方とその家族の外出・旅行を「特別なこと」から「あたりまえの選択肢」へ変えていく大きな一歩になると信じています。
最後に
「もっとこの子にいろんな景色を見せてあげたい。いろんな経験をさせてあげたい。」
今回の調査を通して、回答してくださったご家族からはこのような切なる願いを受け取りました。
旅に出ようとするとき、多くの人はガイドブックを開いたり、口コミを調べたりしながら、どこへ行こうか、何を食べようか、とワクワクしながら計画を立てます。でも医療的ケアのあるお子さんやご家族にとっては、まず「行けるかどうか」を確かめる作業から始まります。おむつを替えられる場所はあるか。電源は確保できるか。食事や就寝環境のリクエストに答えてもらえるか——。
必要な情報が整っていないため、調べても調べても答えが見つからない。その労力の重さが、旅への意欲や楽しみを少しずつ削っていってしまうのです。
今回、47都道府県・345名の方から声を集めた全国調査では、旅先での困りごとだけでなく、「ここはよかった」「こんな対応が嬉しかった」という経験も見えてきました。私たちはこの調査結果をハンドブックにまとめ、広く社会へ届けていきます。
多様な人が旅を楽しむことを当たり前に想定した、観光まちづくりへ。
自治体や観光事業者の皆さんが「どうすれば楽しんでもらえるか」を考えるきっかけをつくるために、私たちは動いていきます。
ぜひこのプロジェクトを応援してください!
一般社団法人 Try Angle 代表理事
須田 麻佑子