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気軽じゃないからこそ、かけがえのない思い出。医療的ケア児家庭が旅先で嬉しかったこと

Try Angleでは、医療的ケア児者とご家族の旅行や外出に関する全国実態調査を冊子化し、社会へ届けるためのクラウドファンディングを実施中です。

これまでの記事では、旅に出るまでの準備の大変さや、旅先で感じる視線の壁についてお伝えしてきました。今回は少し視点を変えて、旅で「良かった」と感じた瞬間の声をお届けします。

設備よりも、あたたかなふれあいが記憶に残る

アンケートでは「良い体験だったと感じられる宿泊施設で、印象に残っている出来事」を尋ねました。寄せられた声に共通していたのは、施設の充実度よりも、スタッフの対応や心遣いへの感謝でした。

「バリアフリーな設備はなくとも、バリアフリーなおもてなし精神があれば何とかなることは多いし、そっちの方が大事だなと思った。」

「問い合わせをした際に、バリアフリーではないのに、快く受けてくれて、学ぼうとしてくれた。必要なアシストをさせていただくのはどのお客様にも同じですと言い切って、ミキサー食を出してくれたり、階段を車椅子で上げる方法を考えてくれたり。」

「段差があってもこうして助けてくれる人がいれば、バリアはそこでなくなりますね。」

自然な声かけが、うれしかった

特に印象的だったのは、スタッフから声をかけられたことへの感謝の声の多さです。

「部屋の出入口の間口何センチありますか?の問い合わせに、すぐ確認して折り返しご連絡します!と言われて、お部屋の出入口のサイズとエレベーターの出入口の幅、奥行きまで図ってくれた。自分が言った以上に、スタッフさんが想像して対応してくれたのだろうなと思うと嬉しかった。こういう嬉しいことがあると、どんなに大変な旅だったとしても『楽しかった旅』の記憶、体験になる気がする。」

「旅館の方が、配慮したうえで一般の方と一緒に扱ってくれた。」

「子どもにも優しく丁寧に話しかけてくださり、ほっこりと嬉しかった。」

「何かお手伝いできることがありますか」と声をかけてもらえること、子どもに自然に話しかけてもらえること。それだけで、旅の景色ががらりと変わる、と感じている家族がたくさんいました。

1回の旅が、かけがえのない記憶になる

「こんな出会いがあるから旅はやめられません。」

ブレンダーの洗い方を一緒に学び、翌朝には付箋でメニューを書き添えてくれた旅館のエピソードを書いてくださった方は、そう締めくくっていました。

医療的ケア児のいる家族にとって、旅行は決して気軽なものではありません。膨大な準備、体調への不安、旅先での介助……。それでも、旅に出ようとする理由が、そこにはあります。

お子さんの中には、進行性の疾患を抱えている方もいます。「これが最後の旅行になるかもしれない」という思いを胸に、それでも一緒に出かけることを選ぶ家族がいます。

だからこそ、旅先で得られた体験は、何にも代えがたい宝物になります。

旅に出るハードルを下げることは、単なる利便性向上の話ではありません。かけがえのない時間を、より多くの家族に届けることです。

旅行事業者や自治体の方に、医療的ケア児者の家族が何を求め、どんな対応に救われてきたかを知ってもらいたい。ハード面はすぐに変えられなくても、声のかけ方ひとつでも、できることは必ずあるはずです。

そのための対話のきっかけになる一冊を、私たちはつくります。

ご支援をよろしくお願いします!